チャートが全て
自分を含めた市場参加者が、 全体としてどちらに向かおうとしているのかを知る手がかりはあるのでしょうか?
正確に予知する方法はありませんが、 過去に似た様な状況下で繰り返し市場がとってきたパターンを研究することで将来への反応をある程度想定する事ができるのも事実です。
繰り返すパターンを見つける手がかりが チャートであり、そのパターンから 将来のプライスアクションを見つけていく試みがテクニカル分析です。
ゴールデンケート大学で教鞭をとる ハンク・プルーデン教授が唱える行動心理学では「人間の行動は 過去も未来もさほど変わることなく計測が可能であり 同時に未来の行動も予測できる」と述べられています。
株式市場などで起こるバブルは「乗遅れたら大変だ」という集団心理で説明できると プルーデン氏はいいます。
この様に 感情に支配された行動は 個人投資家にだけ現れ機関投資家には全く関係ないと思われがちですが 実は機関投資家も同じ条件下にいます。
あなたが大手の金融会社に勤務する機関投資家だと想像して下さい。
相場が材料もないのに イケイケの上げ相場に入ったとします。そんな時、 他社のファンドマネージャーは上げ相場に乗っていきます。あなたは明らかなバブルの様相を見て、 最初は参加を拒みます。ところが機関投資家といえども 上司からの業績評価を受けるサラリーマンです。
このまま相場が下がらず上がり続けたら、 他社が運用するファンドの方が明らかに好成績を残してしまうと あなたの業績評価は下がります。
理由などなくても 成績が良ければ評価されるのが世の常です。
そういった乗り遅れることへのプレッシャーが 重くのしかかればあなたならどうしますか?
機関投資家のあなたが運用している資金は 他人のものです。だとすればイケイケの上げ相場に飛込んでしまった方が 楽になれると想像できませんか?
こういった流れの中では、 乗り遅れまいとする資金が流入し、理由もなく相場は過熱、 最後にはバブルに到るということが起こり得るのです。
この様な人間の心理は いつの時代も繰り返されます。
そしてそれらの欲や恐怖を全て飲み込むチャートは何故か一定の形状を作り上げていきます。そうした形状のパターンから 、相場の心理を読み解く手段を身につけることができれば、人間から欲と恐怖がなくならない限り繰り返すプライスアクションを 味方につけることも可能になります。
科学技術が発達しても 人間の心理そのものはそれほど進化していないということでしょう。